Advance Music Production Suiteレビュー by 佐藤純之介

アニソンクリエータをはじめとするDAWミュージシャン&エンジニア必見!
他人と一気に差をつける厳選されたプラグインコレクション!「Advance Music Production Suite」オススメソフト5選!!
Advance Music Production Suite REVIEW

こんにちは。「ランティス」をはじめとするアニメソングの制作を中心に活動している音楽プロデューサ・佐藤純之介と申します。趣味はヴィンテージシンセサイザを集めることです。私は職業柄、楽曲のイメージをアレンジャやアーティストに伝えるために、実際にPro ToolsやLogicを駆使してデモの作成や、アレンジの補佐、エンジニアに渡すデータの精査を行う事があり、即戦力になるプラグインや機材を常に追い求めています。

今回、リリース前より大注目しておりました「Advance Music Production Suite」を入手し、約1ヶ月に渡るロードテストを経て分かった「本当に使える!」「現場で重宝する!」プラグインを、実際の使い方を含め紹介させていただきます。

プラグインを紹介する前に…この「Advance Music Production Suite」のインストーラは2.5インチUSB HDDに約180GB分入っておりインストールは非常に簡単。ライセンスも各メーカ別のライセンスカードが入っていて、必要な分だけ選別して使用することが可能となっており、充実した内容に似合わぬイージーさ。付属音源だけの制作から抜け出す初心者にも、最初の一歩としてもオススメです。

おすすめ・その1:AIR Music Technology

AKAIやM-Audioなどと同じく、inMusicグループの一員であるAIR Music Technologyの看板とも言えるプラグインが、「Advance Music Production Suite」には、なんと7つもバンドルされているのです。個人的にはなんと言ってもAVIDがPro Tools専用のソフトウエアシンセのバンドルとして発売していた「Pro Tools Instrument Expansion Pack(現:AIR Instrument Expansion Pack)」を長く愛用していたので、新たなプラグインフォーマットに対応してバージョンアップしたAIRのプラグインが欲しくて、このバンドルセットを入手したと言っても過言ではありません。本当に素晴らしいのです。AIR Music Technologyの中でも特にオススメのプラグインとそのポイントを紹介いたします。

VELVET
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その名の通り、肌触りの良いエレピに特化したプラグイン。定番であるFender Rhodes、Wurlitzerに加え最近静かなブームが来ているPianet-Tの音色が収録。数多あるエレピ専用ソフトウエアでもこのチョイスは中々ないですね。現代的な処理がされている音色はどれも派手ではないが濃密でクリア。堅実な音色が多く、男女問わず歌楽曲のボーカルの邪魔をしない印象でバッキング用途として最高レベルだと思います。

内蔵トレモロも周期が不定期に変化して揺れているのか非常に心地が良い。パラメータでの音色の変化が音楽的なので、適当に触ってもそれなりな雰囲気のある音色になります。プリセットをそのまま使うよりも色々いじってみてオリジナルの音色を作るのがオススメ!

HYBRID 3
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リリース直後のVer.1から使用していますが、このシンセは本当に良く出来ています!本物のアナログシンセや最新のVAシンセ的な激太サウンドの傾向ではありませんが、OBERHEIM MATRIX12/Xpanderのように自由度が高いモジュレーションマトリクスを搭載、ROLAND JUPITER-8を彷彿とさせる繊細でヌケの良い広がりのあるサウンドはまさに唯一無二の存在。

ホストDAWとのシンクも可能なステップシーケンサやモーフィング機能も忘れてはいけない。どこまでも深くオタク的なエディットが出来る!(←これ、とても重要です)。初心者の人でも1200以上のあるプリセットで音色を選びつつ、切れの良いフィルタを組み合わせて楽曲の中で変化させると手軽に面白いことが出来る。80年代テクノポップから2010年台のEDMまでカバーできる希有なシンセサイザです。

STRUCTURE
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大容量サンプラ・プラグインのSTRUCTURE。非常に簡単なオペレーションで呼び出せる40GBに渡る付属ライブラリはハリウッドの著名なサウンドトラック作曲家も実際に使用しているのとまったく同じ音色。アニメの劇伴でも大活躍しています。生楽器のリアルな音色がほしい時には真っ先に呼び出すべきプラグインだと思います。また、ネットで配布しているWAV素材集等もドラッグ&ドロップで簡単に鍵盤に並べることが出来るので簡易1ショットサンプラとしても使用可能。バンドルの中では縁の下の力持ち的な存在です。

おすすめ・その2:iZotope
Stutter Edit
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単体購入でもそこそこ良いお値段がするこのプラグイン…まさかのバンドル入りです。作りこんだトラックに対して、インパクトを付けたい時には大活躍します。深夜、テレビで流れているアニソンでサビ直前の歌に入る前に波形を切り取ったような…フィルタ&エフェクトを掛けたような…場面展開のメリハリを付ける仕掛けのフィルを聴いたことありませんか!?あれらはクリエータやエンジニアの方々のいろんな試行錯誤の結果ではありますが、Stutter Editがあれば手軽に似たような効果とインパクトを出すことが出来ます。

MIDIをトリガにして動作するエフェクトプラグインとして機能するので、別途コントローラを用意してDAWを使ったDJパフォーマンスでも面白く使える。音質、音量の調整に特化したプラグインが多い中で、テープの回転数を下げてピッチをベンドダウンさせたりエレクトロニカ的なグリッジノイズを効果的に入れたりと、大技を繰り出してくれる非常に希少な存在。似たようなプラグインは今のところ他には存在しない!?

おすすめ・その3:Way Out Ware
TIMEWARP 2600
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超マニアック!セミパッチシンセARP2600を再現したプラグイン!オリジナルのARP2600は1971年から1981年まで販売されていたベストセラーモデルで、スティービー・ワンダーやハービー・ハンコックが使用していたことで有名。当時の対抗馬であるminimoog的なソロリードやベースサウンドはもちろん、パッチングすることにより複雑に変調した音色も作ることが可能で、効果音等にも大活躍しました。

このTIMEWARP 2600でも、もちろん実機と同じアプローチが可能で、VCO1のアウトをVCO2のノイズINにつなぎ変調させる等の強引なパッチングも簡単に再現でき、70年代のSF的スペーシーサウンド、80年代のファンクロック系バンドのシンセリード、プログレ系の地鳴り的なSE等も再現可能で、まさにタイムマシン!(過去への一方通行ですがw)。ARTURIA製のARP 2600Vが上品なモデリングだとするとTIMEWARP 2600はかなりの暴れ馬の印象。

見た目は難しそうだが、著名な楽曲を意識したプリセットが多数入っているので選んで演奏するだけでも楽しい。万能なシンセではないが、音色からインスピレーションを受けてここから新しい楽曲が生まれるはず!

おすすめ・その4:WAVES
RENAISSANCE CHANNEL
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特徴ある「Advance Music Production Suite」の沢山のバンドル中、一番スタンダードかもしれないプラグインなのですが、あえて選んでみました。諸々手法はございますが、J-POP・アニソン含め、現在リリースされる大半の楽曲がPro Toolsを使ってレコーディング、ミックスされておりますが、商用レコーディングスタジオのPro Toolsのほぼ全てに定番としてインストールされているのがWAVESのバンドルです。ド定番だからこそ、是非注目していただきたい。

当プラグインはチャンネルストリップで、EQとGATE、コンプが一体型。目的の音のイメージがはっきりとあればこの一台で作れてしまいます。さらにDSPの負荷も低いとなれば使わない理由はありません。さらにDAWとしてPro Toolsを使用している人であれば、ほとんどの商用スタジオではセッションデータの互換性が取れるのでプラグインのパラメータを通じてミキシングエンジニアとの意思の疎通が取れる。まさに実践的プラグイン!音の特徴と使い方を覚えれば制作のスピードアップ間違いなし。

おすすめ・その5:PSP
PSP McQ
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アナログのヴィンテージコンソールをモデリングしたEQです。HPF、LPFのフィルタに加え4バンドのパラメトリックイコライザを搭載し、上記で紹介した「RENAISSANCE CHANNEL」程に万能ではないが、独特のカーブを持つイコライザが非常に味わい深い。

暗いかな?と感じたトラックに是非インサートしてHIGHをブーストしてみて欲しい。DAW付属のEQでのブーストだと痛くなる高域のサウンドがこのPSP McQだと嫌味無く強調されているのが分かると思う。これは単に指定した帯域の音量を上げるだけではなく、カーブや倍音の変化までをモデリングしているからで、特にロックテイストの楽曲ならサウンドにガッツやヌケの良さを付加できる。

さらに美味しいのが「SAT」スイッチで、その名の通り歪みを足すことでより温かいアナログ的なアプローチが可能になる。もちろん使いすぎるとノイジーになるので要注意。ピンポイントで大事なパート、ボーカルやベース、ドラムのアンビ等の印象を調整するのに使うと効果覿面(てきめん)かと。

さいごに

以上、厳選に厳選を重ね、5種選ばせていただきましたが、これでも「Advance Music Production Suite」の半分未満…。全て紹介しきれませんでしたが、SONiVOXのジャンル特化型ソフトシンセやFabFilter、FXpansion等の一流メーカのエフェクトプラグイン、オールジャンルに対応出来るだけのPrime Loopsのループ素材集など、まだまだすべてを聴きれないだけのプラグイン&素材集が収録されています。膨大なので私も全ての素材を確認できるのは当面先になりそうです(汗)。

初心者の方のステップアップにはもちろん、プロのエンジニア、アレンジャの方々にも十分導入する価値があり、今後のスタンダードになる可能性を秘めたバンドルだと言えます。

Reviewer:佐藤純之介

アニメやゲーム関連の音楽を中心に展開しているレコード会社、ランティスの音楽制作部、株式会社アイウィルに在籍。プロデューサ、ディレクタ、エンジニアとして活躍中。

Advance Music Production Suite
Advance Music Production Suite REVIEW

Advance Music Production Suiteは、音楽制作、ミキシング、マスタリングに必携のソフトウエア/プラグインを凝縮したプレミアム・ソフトウエア・コレクションです。ブランドの枠を飛び越え、16ものブランドから、バーチャル・インストゥルメント、エフェクト、ループ&サンプル集など、70以上のトップ・タイトルを、一つのハードディスクに収めた、コスト・パフォーマンスの高いパッケージです。